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Ubuntu Studio 12.04 (2) Ardour Digital Audio Workstation編
 

Ubuntu Studioには音楽作成用アプリが詰め込んで有ります。
前回は、“Ardour Digital Audio Workstation”に付いて少し記載しましたが、今回は実際の使用方法を、もう少しだけ具体的に記載します。

スタートメニューから“Audio Production”→“Ardour Digital Audio Workstation”と開きます。



図 Open1
「New Session」タブ
初めて開いた場合や、既にある別の曲を新規に作成する場合に設定します。
name: 曲名などを入力
Create Folder In: 保存フォルダを指定

必要に応じて、次図の「Audio Setup」タブを開いて設定を行います。
特に、初めて使用する場合は何の様になっているか見ておきましょう。

既にある曲(セッション)を開く場合には「Open Session」タブをクリックし、開きたい曲(Session)を選択して開きます。
この場合は、「Audio Setup」タブの設定は必要ないです。




図 Open2
「Audio Setup」タブ
「Device」タブ

USBオーディオインターフェースを使用している場合は、Driverの項目で指定をしておきましょう。
USB機器を接続する場合は、機器によってはドライバーのインストールが必要になる場合があります。
私の古いオーディオインターフェースでは、何のドライバーのインストールの必要もなく接続するだけで機能しました。USB機器でバージョンがUSB1.1の場合に、例えばWindowsの場合にWindowsの汎用ドライバー(別途ドライバーのインストールの必要がない)で動作していたようなものは、UbuntuでもLinux汎用ドライバーで動作するのではないかと思われますが、機器によっては、またUSB2.0以降の機器は、ドライバーのインストールなどの設定が必要になります。
実際問題としては、メーカーからのドライバーが無い場合が多いです。ネット検索で情報を検索しましょう。
例えば、MIDIインターフェースなどはドライバーが無く動作しないものが多いようです。




図 Open3
上図は、USBオーディオインターフェースを使用している場合の“Driver”の項目です。
続いて、“Interface”の設定をします。
その下の“Sample Rate”の項目は、インターフェースによっては、48000Hzが最高となる場合があります。




図 Open4
上図の“・・channels”の項は、接続チャンネル数で、ステレオ接続のみの場合は“2”となります。




図 1

起動した“Ardour Digital Audio Workstation”(以下“Ardour”)の画面です。
“Ardour”はMIDIはサポートされていないようです。従ってAudio File(“
.wav”(PCM)等のオーディオファイル)専用DAW(Digital Audio Workstation)です。

音楽制作としては、MTR(Multi Track Recorder)の様にリアルタイムで各トラックに録音し、細かな修正、エフェクト処理、及びマスタリング(ミックスダウン)に使用するのがベストな使用方法ではないでしょうか?。

機器接続方法例。
MIDI機器は使えませんので、オーディオ出力のある機器を接続します。

簡単な接続方法は?。
キーボード等やマイク等のオーディオ出力を、PCのMic端子に接続します。
各トラックに録音していきます。PCには2チャンネル(ステレオ)分しか入力出来ませんので、機器を繋ぎ変えて其々用に作成したトラックに楽器毎に録音します。

もう少し音質の良いものにする場合は、USBオーディオインターフェースを接続すると良いでしょう。
4ch以上のインターフェース(特に8chを超えるもの)は高価ですが、ステレオ(2ch)接続のものは比較的安価なものがあります。この場合は、Line入力(キーボード等)は其の儘接続できます(機器によっては、出力レベルやインピーダンスの関係で接続できない場合もあります)が、Micの場合は、出力レベルが2桁ほど低いので、別途Micアンプ等が必要となります。

もう少し奮発できる場合は、USBオーディオインターフェースのついた8ch程度のMic接続のできるミキサーを導入すると良いでしょう。USBオーディオインターフェースのないミキサーの場合は、ステレオアウトを2chUSBオーディオインターフェースを介してPCに接続するとよいでしょう。
この8chミキサーの場合は、使い勝手が非常に広がります。例えば、Mic2ch+ステレオ機器X3が同時接続できます。この場合も、トラックに録音できるのは、1トラック-1楽器分しか録音できませんが、ドラムマシン等を接続してモニターアウトやRECアウトから出力してドラム音をモニターしながら、他の楽器をステレオアウト(マスターアウト)からPC側に出力して録音することもできます。
また、8chミキサーならドラムのマルチマイク録音(バスドラムやスネアなど其々に専用のマイクを使用してミキサーでミックダウンして出力)等も出来ます。
ミキサーとUSBオーディオインターフェース、又は、USBオーディオインターフェース付きミキサーがあると何かと重宝するでしょう。


トラックの追加。
機器の接続をし、図Open1〜4までの設定が済んだら、トラックを追加しましょう。




図 2

上図のようにArdourの左ペイン下側の空いている場所で右クリック。




図 3

上図下線部でステレオ/モノラルの指定をして「+Add」をクリック。

なお、◎Trackの方を選択しておいて下さい。(デフォルトで此方側が選択されています。)
Bussesでバスの作成が出来ますので大型ミキサーの様に複数のバス構成が出来る様です。多数のトラックや楽器構成となった場合に利用すると良いでしょう。




図 4

上図矢印部の様にトラックが作成されました。

前図2の様に最初から“master”(マスタートラック)というトラックが作成されていますが、このトラックは楽器などの録音に使うものではありません。(実際にも録音ボタンなど表示はありません。)通常は、ボリューム情報・テンポ情報等の再生中のコントロール情報などが書き込まれます。このArdourでの正確なMasterトラックの使用方法については今のところ検証していません。

トラックのボタン
[]、[m]、[s]の3つのボタンは頻繁に使うので覚えておきましょう。
なお、これらのボタンは、主に複数のトラックを使用している場合に使用します。
[
]:トラック録音ボタンです。録音するトラックのみ有効(クリック)にしてください。
[m]:ミュートボタン。このボタンを有効にしたトラックを消音します。複数のトラック指定出来ます。
[
S]:ソロボタン。このボタンを有効にしたトラックのみ出音します。複数のトラックを指定できます。
なお、全トラック内で[m] [S]を組み合わせて使用できます(同一トラックでは何方か片方のみ)。


トラックへの録音
録音したいトラックの録音ボタンを押します。(上図のトラックの[
]ボタン)
ロケーター(図1上部の再生・停止等のボタンの場所)の録音ボタン[]と再生ボタン(横向き△)を押します。
録音が終了したら、ロケーターの停止ボタン[□]をクリック。

同様の手順で各パートを録音します。
録音したものを聞いて必要に応じて再録音します。
全体的に再録するのでなく、部分的に修正したい場合は、別トラックに録音して編集しましょう。
またパンチイ・パンチアウト機能もあるので活用しましょう。
パンチイン・パンチアウトは指定した範囲内のみ録音します。

なお、各トラックに録音が終了する度に「保存」しておきましょう。


編集
通常は、録音済みのトラックがあるセッションを開いて編集していくことが多くなると思いますが、此処では空のセッションから始め、既にあるフレーズ等を取り込んでトラックに貼り付け・編集を行って行く方法で記載します。

トラックに、フレーズを取り込む。




図 5

上図のように、トラックの波形の表示される場所(上図1の部分)で右クリック。
上図のショートカットメニューが表示されますので、「Insert Existing Audio」をクリック。




図 6

上図が表示されるので、上図左の“Places”(場所)でディレクトリ(フォルダ)を指定し、上図1の場所でファイルを指定します。




図 7
上図の3の部分のように取り込まれました。
しかし、曲頭から始めたいのですが、上図1の様に位置がずれています。
上図2のアイコンをクリックして有効にしておきます。
上図3の辺り(波形上なら何処でも良い)をドラッグしてフレーズ(波形の)の先頭が曲の先頭になる様にします。
このフレーズは、CDからリッピングした曲の波形です。




図 8

上図のように曲の先頭とフレーズの先頭を合わせました。

これでお分かりのように、図7の2の指差しアイコンは、主に移動に使用します。




図 9

今度は上図のようなフレーズを取り込んでみました。
この波形は、Acid Loopのシンセキック(バスドラム)の4分うちのLoopを取り込んだものです。
ACIDの場合は、指定テンポに自動的に合わせてくれますが、Ardourの場合は合わせてくれません。
此の儘で図9の波形をコピペして曲の長さに合わせて再生しても、図7のフレーズと図9のフレーズは全くテンポが合いません。
そこで、自力でテンポを合わせます。
ここで、テンポを合わせる方法は、上図の波形を各発音毎にスライス(分割)してテンポに合うように再配置していく方法と、図9のフレーズをストレッチする方法があります。
(ストレッチする方法は後の方に記載。)

なお、波形其の物をストレッチすることはできませんが、オリジナル波形の表示(表示されている部分のみ発音されます。)は、波形下部(図9なら波形下部の紺色の部分)の左右の端にカーソルを合わせると“←→”カーソルに変わるので、その状態でドラッグすると波形の表示部分の変更ができます。


スライス(分割)して合わせる方法。
スライスしたい波形をクリックしてアクティブにしておきます。




図 10

上図のように、「Edit」→「Separate」→「Split Regions At ・・・」をクリック。


   

図 11                   図 12

上図11のように分割されます。(波形によっては上図のように綺麗に分割されるとは限りません。)
テンポに合うようにドラッグ移動して合わせます。




図 13

波形を拡大して位置を合わせます。
最初は大まかな位置で合わせてから拡大して細かな調整をして上図のように合わせます。
拡大・縮小は、トラック名の表示のある場所の下部に(+)(−)ボタンで行います。




図 14

なお、図13の様に±表示波形で見にくい場合は、片側波形表示(−側波形を+側に合成)する事もできます。
上図の様に、“View”→“Waveforms”→“Show Waveforms Rectified”をクリック。




図 15

上図のように表示されます。
波形(フレーズ)によって表示方法で見易さが多少違いますので、図13・図15の表示は臨機応変に切り替えて使用しましょう。


コピー(複写)
AcidLoop等の短いフレーズを取り込んで、コピペで多数配置して曲作りを行う事ができます。




図 16
コピペしたい波形をクリック選択し、その波形上で右クリックします。
ショートカットメニューから“Edit”→“Copy”をクリック。
貼り付けたい場所で、上記同様にして“Paste”をくりっく。
この操作は、メニューバーにある「Edit」からも同様に行えます。
場所(タイミング)が違う場合は、ドラッグして移動。(もし別トラックにペーストしてしまった場合でも、本来のトラックにドラッグすればよいです。)

キーボードショートカットメニューを使おう。
上記の様な方法でコピペを行っても良いのですが、キーボードショートカットメニューを使ったほうが遥かに楽に行えます。




図 17

上図の1をコピペしたい場合に、コピー元となるフレーズをクリック選択してアクティブにしておきます。
クリック選択されたものは、上手1のようになります。2と比べると色が違うので解りますね。

コピー:この状態でキーボードの「C」をクリック。




図 18

ペーストしたい場所にカーソルを合わせます。
(その場所でクリックする必要は有りません。ただカーソルを持っていくだけです。)
カーソルを合わせたら、キーボードの「V」をおします。




図 19

上図のようにペーストされます。

位置がずれている場合は?。




図 20

上図のように移動したい波形上でドラッグ移動します。

なお此処までの操作は、図7の番号2の指差しアイコンのモードでおこないます。



波形のストレッチ
なお、Ardourでは、“Stretch/Shrink”ですので“伸ばす/縮める”ですが、以降はストレッチ(伸ばす)と表示

図11の様にフレーズをスライス分割してタイミングを合わせる方法記載しましたが、此処では波形(フレーズ)其の物をストレッチ(伸縮・伸長)してタイミングを合わせる方法を記載します。




図 21

上図1のように波形を読み込み、その波形を2の場所まで伸長してみましょう。
上図3のアイコンをクリック。




図 22

上図1の場所から2の場所までドラッグ移動します。
(2の場所のアイコンがストレッチモードのアイコンとは違っています。)




図 23

ドラックしてクリックを話すと上図が表示されます。
「Stretch/〜」をクリック。



図 24

上図のようにストレッチされました。(時間軸で図21と比較して下さい。)


Acidライク?。



図 25

上図のようにAcidもどきのEditをしてみました。(Drums部分のみリミックス。作業途中の画面です。)
1:CDリッピング波形。(ステレオ)
2:シンセキックを分割(スライス)して、2分打で配置。(モノラル)
3:シンセキックをストレッチして、4分打ちで配置。(モノラル)
4:ロックドラムをストレッチして配置。(ステレオ。キック・スネア・キック・スネアとなっています。)
5:クラッシュシンバル(ステレオ)
6:フィルとしてスネア連打・タムのフレーズを配置(ステレオ。フレーズ頭のスネアの部分のみ4つ配置)
ドラムのみ多数配置(複数トラック)してありますが、とのトラックするか検討中)




図 26

上図は、CDリッピング波形(Audio1)をAudio2、Audio3に分割配置してみました。
上図のように長いフレーズを分割・再配置するのは結構面倒です。
図11(図10)の様な分割は簡単ですが、任意の位置で分割する方法ができませんでした。
図10を見るとわかりますが、“Separate F4”が使えないのです。(滲んだ様な太字の場所は使えません。図10参照)
と言う事で、元フレーズの下にトラックを作成して、元フレーズをコピペして、ペーストした波形を波形下部をドラッグして波形表示部分を変更しながら行ったと思います。
(“と思います”とは、後で分割しようと思ったら出来なかったのです。上図を作成したときは出来た様な気がしますが、結構前にデータを撮ったため忘れてしまいました。)


Ardourは、マルチトラックの録音(トラックのリアルタイム録音)・編集を行うような使い方、“Pro Tools”ライクな使い方が合っていると思います。“Acid”ライクな使い方は出来ないことは無いけど面倒です。と言うのが私の感想です。

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